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「あぁ、失敗…」知床岬で実際にあった事例を紹介します


「知床岬まで歩いてみたい」
「シーカヤックで知床半島をまわってみたい」

ルサフィールドハウスでは、そんな計画を立てている方に向けて、知床半島先端部地区を利用する際の注意点や、
現地の状況などについて事前レクチャーを行っています。

知床岬を目指す海岸トレッキングには、一般的な登山道のように整備された道はありません。
延々と続く石浜、巨岩帯、岩壁のへつりや高巻き、潮位によって通れなくなる岩礁帯、そしてヒグマとの遭遇など、さまざまなリスクがあります。

十分な装備や体力、岩場を通過する技術、危険に際して判断・行動できる能力が必要とされます。

とはいえ、初めて行く場所では「実際に何が大変なのか」を想像するのはなかなか難しいもの。

そこで今回は、実際に知床岬を目指した人たちにあった「あぁ、失敗……」な事例をご紹介します。

事例①余裕で行けると思ったのに・・・

出発前に、一般利用者が発信しているブログや動画をしっかりチェック。

そこでは比較的簡単に行けるように紹介されていたため、

「これなら俺も余裕で行ける!」と思って挑んだ知床岬。

ところがいざ現地へ行ってみると、ブログにも動画にも出てこなかった難所が次々と現れます。

「聞いていたのと全然違う……」

すっかり心が折れながらも、何とか無事に帰着しました。

個人のブログや動画は、あくまでもその人自身の経験や感想です。
同じ場所でも、潮位や天候、海況、本人の体力や経験によって難易度は大きく変わります。
それに、本当に険しい場所では撮影どころではありません。

実際の海岸トレッキングでは、満潮時には水没して通過できなくなる場所や、ロープを使った通過技術が必要になる場所もあります。

SNSや動画だけを情報源にせず、出発前に「知床半島先端部地区利用の心得」をしっかり確認しておきましょう。

事例②お腹が減るといけないから・・・

初めての知床岬へ、一人で挑戦した青年。

「途中でお腹が減ったら大変だ」

と、大きなおにぎりを8個。そして水を8リットル背負って出発しました。

ところが炎天下の中、おにぎりは傷んでしまいました。

さらに観音岩付近でヒグマに遭遇。驚いた拍子に足を滑らせますが、
重い荷物を背負って疲弊していた脚では踏ん張りがきかず、足を捻ってしまいました。

そのまま進み続けることは難しくなり、途中で引き返すことに。

食料や水はもちろん必要です。

でも、「足りなかったら怖いから」と何でも大量に持っていけばよいわけではありません。
必要な日数や行程を考えて適量を計算し、行動食は軽量で傷みにくく、効率よくエネルギーを補給できるものを選びましょう。

荷物の重さは、そのまま自分の身体への負担になります。

事例③シーカヤックで半島周回のつもりが・・・

シーカヤックで知床半島を周回する計画を立て、出艇した男性。

ところが知床岬付近で潮に流され、漂流してしまいました。

海上を4日間漂った末にロシア船に救助され、その後、国後島へ移送されることになりました。

運よく船に発見されたからよかったものの、人知れず海上で命を落としていてもおかしくありませんでした。

知床の海をシーカヤックで航行するには、単に「カヤックを漕げる」というだけでは不十分です。

知床岬は潮が速く、強風が吹くこともある難所です。
沿岸でのカヤック経験に加えて、知床半島先端部特有の地形や気象についての知識が求められます。また、風や波によって出艇できない場合を想定した予備日や非常食の準備も必要です。

海況を読み、出艇の可否を自分で判断できるだけの経験がない状態で単身知床岬へ向かうことは、命に関わります。

事例④装備不足で敗退・・・

ソールの薄い靴で出発し、さらに手袋も忘れてしまったトレッカー。

化石浜でヒグマに遭遇したことも重なり、気持ちが折れて途中で引き返すことに。

帰り道に観音岩の手前で野営し、予定より1日早く帰着。

以前は2人で知床岬を目指した経験がありましたが、今回は一人。単独行ではモチベーションを保つことも難しかったようです。

知床岬への海岸トレッキングは、延々と続く石浜や巨岩帯、崖が容赦なく体力を奪っていきます。
特に足元への負担は非常に大きく、しっかりしたトレッキングシューズが欠かせません。
岩壁のへつりや高巻き、垂直下降が必要になる場所もあります。

手袋もただの防寒具ではありません。

岩やザイルをつかみながら移動する場面では、手を守る大切な装備になります。

「なくても何とかなるだろう」

その一つが、長い行程の中では大きな差になります。

事例⑤アナタはよくても・・・

ザックも背負わずスーパーの袋に食パンをぶら下げ、Tシャツ短パンに裸足で知床岬を目指した外国人青年。

あまりにも無謀に見えるその姿を心配した町民から通報が入り、赤岩で警察に保護されました。

本人には、「自分はこれで大丈夫」という自信があったのかもしれません。

しかし、知床半島先端部で何かが起きたとき、その影響を受けるのは本人だけではありません。

「昨日まで大丈夫だった」
「ここまでは問題なく来られた」

だからといって、次の一歩も大丈夫とは限らないのが知床岬です。
事故が起きれば多くの人に影響を及ぼすことを踏まえて行動するよう呼びかけています。


「リスクを最小限に抑える準備」が、知床岬への第一歩です。

今回紹介した人たちは、もちろん最初から失敗しようと思って知床岬へ向かったわけではありません。

「自分なら行けると思った」
「念のため多めに持っていった」
「以前行ったことがあるから大丈夫だと思った」

どれも、少し状況が違えば誰もがしてしまいそうな判断です。

だからこそ大切なのが、出発する前の情報収集と準備です。

知床半島先端部の状況は常に同じではありません。潮位や天候だけでなく、ヒグマの出没状況、漂着物など、その時々で状況は変化します。

ルサフィールドハウスでは、知床半島先端部地区へ向かう方に向けて、こうした現地情報や注意点をお伝えしています。

そして出発前には、ぜひ「知床半島先端部地区利用の心得」にも目を通してください。

知床岬への挑戦は、出発地点に立った瞬間から始まるのではありません。

ルートを調べること。
装備を考えること。
食料を計算すること。
天候や潮を見ること。
ヒグマへの備えをすること。
そして、自分の経験や技術で本当に行けるのかを考えること。

それらもすべて、知床岬へ行くための大切な準備です。

「あぁ、失敗……」で済めば、まだ幸い。

せっかくの挑戦を無事に終えて、「行ってよかった」と笑顔で帰ってくるために。

Prologue of the adventure

羅臼シレココ
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