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【知床世界自然遺産20周年インタビュー】「不便さ」こそが、羅臼の魅力。変わりゆく海と町を見つめて

羅臼漁協協同組合:川端 雪菜

 世界自然遺産登録から20年。知床・羅臼の海と山、そして人々の暮らしは、緩やかに、しかし確実に変化しています。羅臼高校を卒業後、地元の羅臼漁業協同組合で働く川端雪菜さんに、地元で暮らす若者の視点から見た「今の羅臼」と「自然の価値」について語っていただきました。


海から山へ、命がつながる場所

 私にとって、この知床・羅臼の世界自然遺産としての価値ってなんだろうと考えると、やっぱり「つながり」だと思います。海から陸へ、そして山へ。野生動物たちが住んでいる環境や、食物連鎖のような命のサイクルがここにはあって、海と山が循環していること自体に価値があるんだと感じています。

 小学生の頃から学校の授業で「ここは世界自然遺産なんだよ」と習って育ってきました。当時は「そうなんだ」としか思わなかったけれど、大人になるにつれて、「やっぱり知床ってすごい場所なんだな」と実感するようになりました。

漁獲の波とその変化

 私は今、羅臼漁協協同組合で働いていて、日々羅臼の海の変化を感じています。特に今年はサケやカラフトマスが少なかったです。まったく獲れない日もあり、漁獲量に波があるため、安定して獲れないと不安になります。

 近頃は、ブリが獲れて、そのブリは脂がのっていて本当に美味しいんです。 実家がお食事処だったこともあって、昔から鮭料理が身近でしたが、最近は鮭が少ないこともあり、ブリが登場することも増えました。ブリは煮付けにしたり、味噌につけて焼いたり、家庭料理のレパートリーも、海の変化に合わせて変化したと思います。

 ウニや昆布に関しても変化を感じます。特に昆布は、2024年は本当に少なく、学生の頃に行っていた昆布バイトが1週間足らずで終わってしまうほどでした。でも2025年はまた少し持ち直してきたりと、自然相手なのでどうしても波がありますね。

観光客とシカが増えた町なか

 町を歩いていると、観光客や外国人の方が増えたと感じます。羅臼のような小さな町でも、当たり前のように外国人が歩いている風景が日常になりつつあります。

 それと同時に、野生動物との距離も変わってきている気がします。最近、町なかでシカを見かける回数が増えました。前はこんなに頻繁には見なかったと思うんです。山に食べ物が少ないのか、観光客が増えてゴミなどの影響があるのかは分かりませんが、動物たちが人間の生活圏に降りてきているのを感じます。

なにもないから、ここがよい

 正直、羅臼は「不便」です。大きなショッピングモールもないですし、同世代の友人は、遊びたいからと札幌や函館に出ていくことも多いです。でも、都会への憧れはありつつも、私はこの田舎での静かな暮らしが好きなんです。朝日も本当に綺麗。

 魚の城下町として、獲れる魚種が変わっても、その時々の美味しい魚があります。ただ、鮭が減ってしまっている今だからこそ、海産物だけに頼るのではなく、山も含めた羅臼全体の自然の魅力を、もっと多くの人に知ってもらえたら良いなと思っています。

 そんな羅臼の強みを生かしながら、これからもこの町で暮らしていきたいです。

Prologue of the adventure

羅臼シレココ
プロジェクト